書評「Web制作者のためのSassの教科書 改訂2版 Webデザインの現場で必須のCSSプリプロセッサ」

書評「Web制作者のためのSassの教科書 改訂2版 Webデザインの現場で必須のCSSプリプロセッサ」

Web制作者のためのSassの教科書 改訂2版」を献本していただきました。Sassは、もはやスタンダードと言っても過言ではありません。ぜひ、CSSを書く人は皆つかいこなせるようになってほしいという思いがあります。

本記事は、この書籍のレビュー記事です。

はじめに:私とSassの関係

私が実案件でSassを導入したのは2016年2月12日でした。

ちなみに、その二カ月前はこの通りでした。

それ以降、一年半ほどSassを使ってきました。私はSassを「CSS管理ツール」という風に見ています。Sassを使うと、役割ごとにファイルを分割し名前をつけたり、@mixinを使って宣言のまとまりに名前をつけることができます。ただの羅列では意味を理解しにくいものに「名前」をつけることでより意味を持たせるという目的でSassを使っています。まさに「メタ言語」としての使い方です。

そんな感じでSassを使っている筆者の目線でレビューします。

この本の使い方

Sassのことが端から端までかかれている書籍です。情報量が多いので、ゼロから一気に知識を詰め込むために通読するとハードルの高さを感じてしまうでしょう。

入門者は前半だけ、初心者は中間を拾い読み、もっとSassを楽しみたい人は最後まで読むことをおすすめします。Sassは全ての知識が頭に入ってないくても使えるツールです。基本的な記法が使えるだけでも作業効率は上がります。

レベル別の推しトピック

ここからは、読む人のレベルに合わせて私のおすすめトピックや使い方を紹介します。

「これからSassを覚えたい」な人

第1章から3章まではあますことなく役に立つでしょう。環境構築から丁寧に解説されており、真にこれからはじめる人や、Sassは使っているけどなんで動いているのかよくわからないというレベルの人にもオススメできます。全部読まずとも、前半だけでもしっかり読んだあたりでまずは実戦投入してみましょう。続きは少し使って見てからでOKです。

「Sassはネストくらい」な人

たまたまSassで動いていたのでなんとなくSassを使っている人には「5章:現場で使える実践Sassテクニック」がオススメです。特に推しトピックは次のとおりです。

  • 5-2 レイアウト・パーツで使えるテクニック
    • clearfixをミックスインで活用する
    • 値が比較しづらいz-indexをMap型で一括管理する
  • 5-3 スマホ・マルチデバイス
    • スマホサイトでよく見る、リストの矢印をミックスインで管理する

これらは全て「ただ並んでいるだけの宣言に意味を持たせる」ものということでピックアップしました。@mixinは宣言のまとまりに名前をつけて定義しておくことで後から呼び出すと言う使い方ができます。ハック系のCSSやclearfix、やむをえず絶対配置などで謎のマジックナンバーが並ぶことも時にはあります。そんな場合も、それぞれ名前をつけてまとめておけば「これらの宣言群にはこういう意図がある」ということがわかりやすくなります。

初心者を脱するための乗り越えるべき壁として「自分以外も触れる」CSSを書くための参考にしましょう。

「もうSassは完璧」な人

この本は、Sassの機能が余すところなく解説されています。普段あまり使うことのない機能も解説されていて、それを読むだけでも新たな発見があります。

@warn@debugなんて、聞いたこともありませんでした。公式ドキュメントを通読するか、自ら集めようとしない限り入って来づらい情報も網羅的に解説されているため、単純に読み物としても楽しめます。

また、もう自分が学ぶことはないな、という人にもおすすめです。それは、教育のためです。ひとまずこの本を渡しておけば、基礎的なところは自走できるようになるでしょう。上級者のあなたがわざわざ教育にかける時間を削減できるというのもいいところです。

上級者が本当に教えるべきは、本に載ってない現場の知識です。基礎的な項目はこの本にお任せすることをおすすめします。

最後に

Sassが使えることは、自分が楽できるだけでなく、協働するメンバーの全員を巻き込んでよりよい制作をすることにつながります。また、すでにSassを使ってつくられているプロジェクトがある際に「Sassができないから参加できない」という機会損失を防ぐことにもなります。ですので、今すぐ必要性を感じてない人でも学んで損はありません。

取引相手がSassを使ったことがないからという理由で自身がSassの使用を諦めなければならない場合もあります。こうなってしまうと同じ仕事でもかかる時間が変わって来るため、悲しい気持ちになるのが本音です。ぜひ、CSSに関わる全ての人がSassを使えるようになってほしいです。

以上で、「Web制作者のためのSassの教科書 改訂2版」のレビューを終わります。自学自習、ステップアップ、教育・社内布教と便利に使えるので、興味のある方はぜひご一読ください。書籍情報は以下のサポートページをご覧ください。

Web制作者のためのSassの教科書 改訂2版 – 公式サポートサイト

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